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あの人のオススメ

5年目の3.11。それぞれの人々の中にある、3.11。自分にとっての3.11とは? さまざまな方々が教えてくれた3.11から示唆を受けたオススメの1本を紹介します。

茂木 健一郎

茂木 健一郎

脳科学者

サクリファイス

(監督:アンドレイ・タルコフスキー/1986年/149分/スウェ-デン・フランス)

核戦争の危機が迫る地球で、男が、祈ることの力を再発見する。無駄かもしれないけれども、枯れた木に水をやり続けること。聖書の一節を引いたラストが印象的。バッハの名曲『マタイ受難曲』の美しいアリアが効果的に使われている。巨匠は、この作品を最後として、まもなく亡くなってしまった。

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会田 誠

会田 誠

美術家

遠雷

(監督:根岸吉太郎/1981年/135分/日本)

この映画を見たのは高校時代なので、記憶は曖昧です。時代設定は古く(バブル経済前夜)、場所も東北ではなく、栃木県宇都宮の宅地化がジワジワ進む農村。けれど3.11ということで、ふとこの映画が思い出されました。地方の切なさや焦燥感や希望がリアルに描かれていたからだと思います。僕自身久しぶりに見たくなりました。

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浅井 隆

浅井 隆

有限会社アップリンク代表取締役

100,000年後の安全

(監督:マイケル・マドセン/2009年/79分/デンマーク,フィンランド,スウェーデン,イタリア)

フィンランドの高レベル放射性廃棄物の最終処分場オンカロを描いた『100,000年後の安全』。東日本大震災直後に公開しヒットしたが、震災から4年経ったいまこそ観る価値があるだろう。監督のマイケル・マドセンは言っている。「福島原発は地上のオンカロになるだろう」と。

[カテゴリ]会場上映あり、自主上映募集

松村 豪太

松村 豪太

一般社団法人ISHINOMAKI2.0代表理事

ジェフリー・ジョーサンの一連の短編

(監督:ジェフリー・ジョーサン/2011〜2014年/-分/日本)

2011年以来復興に取り組む人物たちを中心に毎年定点観測的に石巻を撮影し続けている「ISHINOMAKI zero」シリーズや、被災者の「笑う」姿をモンタージュした「笑う東北」など、ジェフリー・ジョーサンの作品はマスコミが捉えきれない、被災地の「もう一つの側面」や逞しさを浮かび上がらせる。それは彼の被災した日本人と同じ目線に立って見つめる姿勢と人柄、洞察力によるものである。

[カテゴリ]会場上映あり

辻 信一

辻 信一

環境運動家、文化人類学者

little forest 冬/春

(監督:森 淳一/2014年/112分/日本)

東日本大震災後4度目の夏、異常気象が当たり前になりつつある夏、原発が1基も稼働していない夏、この映画が静かにぼくのもとに舞い降りた。舞台は東北の里山。そこには何百年と続いてきた豊かな自然とそれに寄り添う暮らしの基本形がある。そんな民俗文化の宝庫の中に、主人公のいち子は颯爽と分け入ってゆく。これは日々の食事を描くスローフード映画だ。食べることは生きること。スローフードはスローライフ。これは働くことについての映画でもある。今まさに世界中の若者たちの間で急速に進んでいる、仕事という言葉の意味の根本的な見直しを描いている。そして、手を、身体をフルに使って生きることについて。生きることと食べることの融合、他の命をいただいて生きることについて......。ポスト3・11時代の主人公である若者たちにぜひ見てほしい。

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宮本英実

宮本英実

福島県いわき市地域活性プロジェクト【MUSUBU】代表

0.5ミリ

(監督:安藤桃子/2014年/196分/日本)

今こそ見るべき映画だ。行き場を無くしたワケあり老人たちと、おしかけヘルパー「サワ」が、本気でぶつかり、グチャグチャに交わりあり、溶け合っていく怒涛の196分。「0.5ミリ」という、なんとも絶妙な距離感でつながる人間たち。"介護"がテーマの映画ではあるが、決してそれだけではない。現代社会の「光」と「影」が、高知県を舞台に鋭く温かく描かれている。この映画で、主演女優・安藤サクラの虜になった。

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宮本武典

宮本武典

キュレーター/東北芸術工科大学准教授

イントゥ・ザ・ワイルド

(監督:ショーン・ペン/2007年/148分/アメリカ)

ジョン・クラカワーのノンフィクション小説『荒野へ』が原作。全てを捨ててアラスカを目指した青年クリス。震災直後のボランティアセンターや避難所には、彼のような若者が大勢いた。彼らはなぜ「荒野」を求めたのか。そもそも「荒野」とは何だ? 3.11の現場を駆けた若い人たちに、いま改めて観てほしい作品。

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椿昇

椿 昇

現代美術家

アクト・オブ・キリング

(監督:クリスティーヌ・シン、ジョシュア・オッペンハイマー/2012年/166分/イギリス・デンマーク・ノルウェー)

インドネシアで100万人規模のジェノサイドが実行され、加害者達は40年後にカメラの前で虐殺を再演する。ジョシュア・オッペンハイマー監督は、すべての人々に深く複雑な問いを投げかけた。3.11はこのレベルでのみ記述可能なのではないか。ポリティカルな表象や安易なヒューマニズムを克服する方法を探りたい。

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山崎なつ美

ラヂオもりおか

ファミリー・ツリー

(監督:アレクサンダー・ペイン/2011年/115分/アメリカ)

ハワイを舞台に妻が昏睡状態になり家族崩壊の危機を迎えたマットが、家族の絆を取り戻していくストーリー。震災では改めて人と人との「絆」を再確認することになりました。あなたとつながっている人はどんな人ですか? 問題に直面した時の人間臭さもありながら、人との絆を強く感じられる作品です。

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澤口佳代

映画宣伝

東京原発

(監督:山川元/2002年/111分/日本)

2004年に公開された映画「東京原発」。突然東京に原発を誘致しようと試みる都知事(役所広司)の計画に困惑する幹部職員たち。説明に呼ばれた専門家が最悪の事態を話す。。。私たちは原子力発電所について何を理解している?長い長い送電線の向こうに危険なモノを置き、必要な電気だけ享受してきたのではないか?福島第一原発事故を経験した今でも、見るべき映画。

[カテゴリ]レンタルあり

本間勇輝

本間勇輝

NPO法人HUG代表理事(『東北復興新聞』発行人)・NPO法人東北開墾理事

遺体 明日への十日間

(監督:君塚良一/2012年/105分/日本)

ずっと涙が止まらなかった。悔しさなのか悲しさなのか憤りなのか、分からない。でも、目をそむけてはいけない。分かったつもりになってはいけない。あの日々にあった、1つのストーリー。知る事から、全ては始まる。

[カテゴリ]会場上映あり

今村彩子

今村彩子

映画監督

あなたへ

(監督:降旗康男/2012年/111分/日本)

私事ですが、去年の夏、大切な母がある日突然旅立ってしまいました。いつまでも悲しんではいけない、元気を出そうともがけばもがくほど、焦ってしまう自分がいます。3.11の取材に協力してくれた人の中には家族を亡くされた方もいます。私はその悲しみがどれくらいのものか分かりませんでしたが、今は前よりも少しは想像することができます。静かな喪失感の中で大切な人をどう想いながらどう生きるかということが描かれている『あなたへ』をもう一度観たくなりました。

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田中美咲

田中美咲

ソーシャルプランナー・防災ガール代表

風の谷のナウシカ

(監督:宮崎駿/1984年/116分/日本)

3.11までは、ただ目の前の楽しいことや自分のことばかりで打算的だった毎日でした。震災を経て私は、人間では防ぐ事ができない大自然の大きな力を知ったことや、いつ何が起きてもおかしくない日本で暮らしているということは自分の責任だと思うようになりました。風の谷のナウシカは、自分たちの目の前の小さな問題は一つの事象にしかすぎなくて、その根源は、それぞれの考え方のズレではなく、長年積み上げてきた私たちの小さな行為のによるものだと教えてくれます。

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井出明

井出 明

観光学者

砂の器

(監督:野村芳太郎/1974年/143分/日本)

3.11後の日本では、放射能に関連した非科学的な差別が蔓延し、それは福島の被災者の心にとって重い負担となった。こちらの映画は、40年ほど前に作られた作品であるが、ハンセン病を素材として、科学に基づかない無知が如何に偏見を増大させるのかという点について、未だに色褪せない問題提起を行っている。福島が抱える問題を考える上で、是非とも見ておきたいコンテンツである。

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饗庭伸

饗庭 伸

まちづくりと都市計画の専門家/首都大学東京准教授

フラガール

(監督:李相日/2006年/120分/日本)

言わずと知れた名作なのだが、これはまちづくりの映画でもある。見るべきなのは、フラガールズでもその家族でもなく、背景に描き込まれている炭坑のおじさんたち。彼等が少しずつ力を出し合った時こそ「まちが動いた」瞬間なのであり、それはまちづくりにしばしば起きる、奇跡のような瞬間である。3.11のあとの「まち」の復興において、普通の人たちが起こすこういった奇跡に、私達はどれくらい立ち会えているのだろうか?

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Yoi(ヨイ)

Yoi(ヨイ)

アクセサリー作家、アーティスト

楽しいムーミン一家 ムーミン谷の彗星

(監督:斎藤博/1992年/62分/日本)

私の家族が3.11の少し前に亡くなり、実質ひとりぼっちになったばかりの頃でした。自分の力ではどうしようもない理由で身近な人を亡くしてしまう、自分が気づかない内に何か恐ろしい事が起きているかもしれない危機感が格段に増えました。ムーミンの世界は一見ほのぼのしているようですが様々な事柄に対し考えさせられる機があります。彗星の脅威に向い合い、世界の終末を感じながらも生き抜こうとする勇敢な姿をぜひみてほしいです。

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BO-JW.

BO-JW.

アーティスト

ゆれる

(監督:西川美和/2006年/120分/日本)

この映画は震災が題材ではないが、あるきっかけで登場人物たちの心情が揺れ動く姿はタイトルに偽りない。
その情景は震災を経験した私(たち)の心が未だにゆれている心理状態にだぶって見える。
いつまで我々の心はゆれているのだろう。きっと一生ゆれているのだろう。

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清水健太

清水健太

認定NPO法人桜ライン311事務局員

タイタンズを忘れない

(監督:ボアズ・イェーキン/2000年/114分/アメリカ)

まだ、人種差別が根強く残る時代。ヴァージニア州アレクサンドリアの州立高校で、黒人と白人の混成アメフトチームが州制覇を成し遂げるという、実話を元にした映画。3.11のような大災害に直面したとき、互いに支え合うことが大切になる。黒人も白人も、日本人も外国人も関係ない。皆同じ、ヒトなのだから。

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林 千晶

林 千晶

株式会社ロフトワーク代表取締役

みんなの家

(監督:三谷幸喜/2001年/116分/日本)

家を建てることにまつわる人間模様を描いた作品。登場人物達の思惑と理想がバラバラで、激しく衝突します。家ひとつ建てるのにその騒ぎなのだから、さらに多くの人が関わる東北地域の復興を思うと気が遠くなりますね。ただ、この映画に学ぶべきは、衝突もお互いを知る大事なプロセスだということ。作品中の新たな家の姿は、東北のこれからの街の姿に重なり、明るい未来を連想させてくれます。

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佐々木香織

佐々木香織

3331 CUBE shop&galleryショップコーディネーター

311

(監督:森達也、綿井健陽、松林要樹、安岡卓治/2011年/92分/日本)

3.11から4年が経とうとしていて、当時の「熱気」は冷めている。何かしらの活動に関わった人も、関わることができなかった人も、少なからず「後ろめたさ」を感じている時期ではないでしょうか。四人のドキュメンタリー作家が震災直後の混乱と葛藤の中で撮影したこの作品は、言葉に出すこと、行動することでさらに戸惑いを積み重ねることになっても、それでも進むことの重要さを伝えている気がします。

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開沼博

開沼 博

福島大学特任研究員・社会学者

その街のこども 劇場版

(監督:井上剛/2010年/83分/日本)

3.11によって一番考えたのは、非日常の中にある日常を描くことの大切さと難しさ。非日常の中で非日常を描き、強調しながら野次馬を集め、喝采を受けるのは表現として難しいことではない。一方、非日常の中に日常を見出し、印象深く表現するのは誰にでもできることではない。それは、日常の中にある非日常を鮮やかに切り出して人を嘆息させる小説を誰もが書けるわけではないのと同様に。「なるほど、こうするのか」と何度も思い返してしまう映画だ。

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小野和子

小野和子

民話採訪者、みやぎ民話の会顧問

『東北記録映画三部作』―「なみのおと」「なみのこえ」「うたうひと」

(監督:酒井耕・濱口竜介/2011年/2013年/2013年/142分/109分/120分/日本)

三部作は「おと」から「こえ」へ、そして「うた」へと流れる。「おと」は、海の彼方へ逝った人の鼓動なのか。「こえ」は、耐えがたい受難を余儀なくされた人の呟きなのか。二人の監督は、百年を生きる「言葉」を以て、震災の姿を残そうと試みる。瓦礫も壊れた建物も映っていない。生きる人間と言葉だけがある。それは、遠い先祖が営々と語り継いだ民話世界と呼応し、やがて「うた」となる日を予感させる。見おわった画面から新たな鼓動が聞こえてくるようだ。

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友廣 裕一

友廣 裕一

一般社団法人つむぎや代表 / リソース・コーディネーター

『東北記録映画三部作』「うたうひと」

(監督:酒井耕・濱口竜介/2013年/120分/日本)

かつて日本の農山漁村を巡らせていただいた時にも何度か出合った、民話。一見易しい言葉に、意味深なメッセージを、心に響く懐かしい音色にのせて…。かなしみも、よろこびも、いましめも、こうして代々受け渡されてきたのだということ。そこには無意識のうちに我々が手放してしまった大切なことがあったんじゃないかと、長く続く余韻とともに考えた作品でした。

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竹内昌義

竹内昌義

みかんぐみ

小さき声のカノン 選択する人々

(監督:鎌仲ひとみ/2014年/119分/日本)

ぼくが、エネルギーのことを色々考える様になったのは鎌仲監督の「ミツバチの羽音と地球の回転」を見てからだった。祝島の原発反対運動と北欧の再生可能エネルギーの発展のパラレルストーリーを見たことから、原発とエコハウスをつなげて考えられる様になった。今回、推薦するのは鎌仲さんの「小さき声のカノン 選択する人々」。淡々と事実が積み重ねられて、いろいろ考える機会を与えてくれる。ぼくらに必要なのは原発事故が起こったことに目を背けることではなく、今福島でなにが起きているかちゃんと把握し、歴史を重ねたベルラーシから学ぶことだと思う。

[カテゴリ]自主上映募集

山内宏泰

山内宏泰

リアス・アーク美術館 学芸係長/学芸員

波伝谷に生きる人びと

(監督:我妻和樹/2014年/134分/日本)

この作品には「どう壊れたのか」ということは何も記録されていない。「何が壊れたのか…」、失われたものの意味を、ただひたすら問われるのみである。被災地の前後を見てきた一被災者として、私はこの作品を多くの人に見てほしいと感じる。今、この作品が存在し、目にすることができる奇跡を共有してほしい。そして自分が失うことになるかもしれない「日々淡々と繰り返される日常」の価値と幸福の意味を再認識してほしい。

[カテゴリ]会場上映あり、自主上映募集

村田達彦

村田達彦

遊工房アートスペース

Kissing Swans

(監督:Dr Chris Bennie/2013年/オーストラリア)

昨年の遊工房レジデンスアーティストの中から、3.11をとても意識した気になる作品です。2013年、オーストラリアのQueensland州を襲った大洪水によって被災したキャンピングカー(キャビン)自身が作品となったもので、解体されくず鉄となる寸前のところを作家により発見され、キャビンがあった場所にそのまま残し、その内部でサウンドを含むビデオ作品として公開された。キャビンのドア上部に、互いに向き合っている2羽の白鳥から発想された踊る2人のカップルのダンスで構成された、ユーモアと共に、過去のキャンピングカーへの哀調が流れている。

[カテゴリ]

釘子明

釘子 明

陸前高田被災地語り部くぎこ屋 代表

あの街に桜が咲けば

(監督:小川光一/2014年/40分/日本)

陸前高田の、若い青年たちが、中心となり、ボランティアと共に、2度とこの様な、悲惨な体験をしてほしくないという事で、津波の到達地点に、桜を植樹する。桜の咲く毎年春に、東日本大震災の事を思い出し、将来の人たちに、津波の怖さや、防災の重要性を日本人の大好きな桜で、伝えて行くというプランを、題材にしたドキュメント映画です。是非多くの方に見て頂きたい作品です。

[カテゴリ]会場上映あり、自主上映募集

五十嵐太郎

五十嵐太郎

建築評論家

ASAHIZA 人間は、どこへ行く

(監督:藤井光/2013年/74分/日本)

3.11映画はすでに数多くありますが、僕がいつも気になっているのは、それを被災地である仙台の映画館で鑑賞するときと、東京の映画館でおそらく非被災者たちと一緒に見るときの、まわりの雰囲気の違いです。しかし、この映画は、映画館という場所をテーマとし、両者をアクロバティックな手法でつなごうと試みています。異なるエリアで暮らす人達が南相馬の映画館で、同じ夢を見ているのかのようなシーンが印象的でした。

[カテゴリ]会場上映あり

菅原誠

菅原 誠

ADBOAT PROJECT

復興リアルドキュメンタリーFILM「僕らはココで生きていく」

(監督:下山和也/2013年/103分/日本)

大震災から4年。平穏な日々が戻っている今、忘れてしまっていることも多い。本作品はそんな今だからこそ見る価値がある。震災から立ち上がる人々の様子は、ときに切なく、苦しく、しかし、笑顔とエネルギーに溢れている。リアルだからこそ学ぶことも多い。生きることの意味、家族や友人の大切さ、 そして他人の幸せのために生きる喜び。未曾有の事態に直面した時、本当に大切なものは何なのか、自分の眼で心で感じて欲しい作品だ。

[カテゴリ]自主上映募集

鎌田 千瑛美

鎌田千瑛美

コミュニティコーディネーター

天に栄える村

(監督:原村 政樹/2013年/ 106分/日本)

日本一美味しい米作りを目指していた農家の皆さんたちの震災前後の生き様と共に、天栄村の美しい農村風景から、多くの学びを感じることの出来る映画です。岡部さん家のシンプルな塩むすびの美味しさが忘れられません。

[カテゴリ]自主上映募集

松田陽子

松田陽子

KANEIRI Museum Shop6 店長

東北記録映画三部作

(監督:原村 政樹/2013年/ 分/日本)

東日本大震災で津波の被害を受けた人々の「語り」をとらえた映画『なみのおと』『なみのこえ(新地町・気仙沼)』。そして東北地方に息づく民話を記録することで、「語り」そのものがもつ力を丁寧に映し出す『うたうひと』。酒井耕・濱口竜介二人の監督が取り組んできた「東北三部作」。対話の中では語ることの意味について静かに考えさせられる作品です。

[カテゴリ]自主上映募集

星野諭

星野 諭

NPO法人コドモ・ワカモノまちing 代表理事

未来の食卓

(監督:ジャン=ポール・ジョー/2008年/112分/フランス)

3.11で失われたモノと、3.11が生み出したモノを、今を生きるボクらが向き合って解決していかなければならない。難しくて、考えすぎてしまうこともある。でも、この映画の子どもたちが未来のヒントをくれる。彼らはとても直感的だ。自然なものは美味しい、自然なことは楽しい。とてもシンプルで美しい答えがそこにある。

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石川翔平

石川翔平

ポレポレ東中野

3PORTRAITS and JUNE NIGHT

(監督:池田泰教/2013年/44分/日本)

栃木県益子町で土と生きる人たちを2009年に撮った第一部と、震災後にその人たちの周辺であったことを再構築/再現出した第二部で構成された中編作品。震災後というのは東京で暮らす私にとっても、被災地の方々とは比べ物にならないほど大したことないものだけど、具体的な被害から小さな変化までいろんなことが変わった。この映画は、益子の人々の息吹にまで迫ったような独特な映像と音で、被災地域からは離れた場所の小さな変化までをも描いていた。土が汚染されるということの重みを改めて知った。

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石川翔平

石川翔平

ポレポレ東中野

Mr.s&Doraemon

(監督:鈴木光/2012年/日本)

アニメ「ドラえもん」の中の誰も映っていない瞬間だけを切り取った映像の連続に、311の津波襲来を伝えるニュース音声が重なる短編作品。日常にとつぜん突き刺さった被災という事実の重みが、架空であるのび太たちの空間でそれを感じることで、何倍も痛いくらいに伝わってくる。”311後の映像”って何だ?とモヤモヤしていた時に見て、見ているものと現実へ還元されるもの差異の大きさに、そうか映像ってこういうことなんだよなーと思った。

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石川翔平

石川翔平

ポレポレ東中野

フタバから遠く離れて 第二部

(監督:舩橋淳/2014年/114分/日本)

井戸川町長のリコールから、井沢新町長の着任から始まる本作は、頑張った前町長と、悪役の新町長グループ、というような安易な構図を許さない。井沢新町長の苦悩をも描くことで、原発避難とコミュニティの分断ということを丹念に深く掘り下げていく。避難所で年越ししたおばあちゃんの言葉、大事な時期に内輪揉めしている議員に食って掛かるおじさん、好きだったラーメン屋や肉屋の惣菜を紹介する井沢町長、貴重な瞬間を丁寧に撮れていて凄い。

[カテゴリ]会場上映あり、自主上映募集

石川翔平

石川翔平

ポレポレ東中野

遺言 原発さえなければ

(監督:豊田直巳、野田雅也/2013年/225分/日本)

飯舘村の数件の酪農家に密着して小さなコミュニティを描くことで、放射線汚染という大きな被害というものを具体的に描いている。それぞれの登場人物をちゃんと説明しているので、牛を手放す日に皆が一つの牛舎に集合してくるシーンは、ヒーロー映画を見ているようなわくわく感もあった。それぞれの暮らしと選択。そして目の当たりにする”原発事故による”死。3時間45分、飯舘の人々と風景に浸かって、これが震災映画の一つの到達地なんじゃないか、と思った。

[カテゴリ]自主上映募集

小川直人

小川直人

コーディネーター、学芸員

木町の3.11――ふるさとへの想い――

(監督:仙台市立木町通小学校・木町の3.11実行委員会2013/2013年/92分/日本)

子どもたちは社会にとってもっとも身近な《未来》である。東日本大震災をめぐる映像は膨大につくられているが、多くは大人の視点。未来に残し伝えるためのアーカイブならば、その《未来》自身である子どもたちの視点で記録されたものがあっていい。
本作は、せんだいメディアテークの「3がつ11にちをわすれないためにセンター」で公開。ほかにも現在40タイトルあまりがある。
(制作:仙台市立木町通小学校・木町の3.11実行委員会2013/92分/2013年)

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新堀学

新堀 学

建築家

希望の国

(監督:園子温/2012年/134分/日本)

この映画の中にはいくつもの「国境」が描かれている。20㎞圏を区切る杭、長島県避難者とそれ以外の人々、避難した先での原発立地自治体とその周辺の人々、放射能被害への敏感さの人々の中の温度差、行政の人間と被災者の間、これから子供を育てていく世代と育て終わった世代と。
「国境」は人為的なものであると同時に、なかったことにできないという意味で不可逆なものだ。われわれがそれをどう「越境」するのかが問われている。

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いしだともこ

いしだともこ

Moonbow 代表

幸せの経済学

(監督:ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ、スティーブン・ゴーリック、ジョン・ページ/2010年/68分/アメリカ、ニカラグア、フランス、ドイツ、イギリス、オーストラリア、インド、タイ、日本、中国)

3.11は、人間のエゴに気付く機会でもありました。この地球で自然と共存していくとは? 本当の「幸福」「豊かさ」とは? 改めて考えさせられました。
この映画では「グローバリゼーション」の影響や「ローカリゼーション」について触れながら、未来を見据えた「本当に幸せな暮らし」「豊かな生き方」への様々なヒントが示されています。きっと、身近な地域社会や暮らしに目を向け、人や自然との関係を再考するキッカケになるはずです。

[カテゴリ]会場上映あり、自主上映募集

新堀学

田村 和大

種継ぎ百姓 CosmicSeed代表

ダムネーション

(監督:ベン・ナイト&トラヴィス・ラメル/2014年/87分/アメリカ)

私の生業は、種を採り繋ぐ百姓。田畑はたくさんの水を必要とし、その供給元は、上流にあるダムだったりする。ダムが川の流れを止め、下流域を汚し、悪影響を与えていた事を意識せず、農作業に励んでいた。なんだか、原発と一緒だ。生活圏の遠いところの悪影響は、考えもしない。世の中には、気づくタイミングはたくさんある。行動転換のヒントがこの映画にはあると思う。

[カテゴリ]自主上映募集

増田 拓史

増田 拓史

アーティスト

少年時代

(監督:篠田正浩/1990年/117分/日本)

太平洋戦争が激化するなか、やむを得ず田舎に疎開した少年。
気の知れた友達ひとり居ない所で、ひと夏を過ごすことになった。他所もの扱いされていた少年もやがては、一番のいじめっこだったガキ大将との間に深い友情が芽生える。
幼少期にこの映画を観たとき、実はあまり印象に残らなかった。東北に住む今、この主人公のように、地元から離れなければならなくなった少年達と姿を重ねてしまいます。仮暮らしの代償として、豊かな友情に囲まれていることを願う。

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増田 拓史

増田 拓史

アーティスト

紅の豚

(監督:宮崎駿/1992年/93分/日本)

この映画が公開されたのは、僕が幼少の頃。台詞をすべて覚えるくらいに魅了され、自分自身もあの真っ赤な飛行艇で飛ぶことを夢見ていたことを強く覚えています。改めて観ても無垢な気持ちになれる。これほどまでに夢を描こうと思えた映画があっただろうか。
街が再編されていく被災地にとって、あらためて無垢に夢を描けるきっかけがこの映画の中にあるのではないでしょうか。子供たちに今一度観てもらいたい。そして無垢で大きな夢を描き、自分たちの街を再興させてほしい。

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石鍋 博子

石鍋 博子

ワンピース倶楽部代表

ヴィック・ムニーズーゴミアートの奇跡

(監督:ルーシー・ウォーカー/2011年/98分/イギリス・ブラジル)

2010年の東京国際映画祭で出会ってから、私の「イチ押し映画」はこれ。
アートの力、アートの可能性を見せつけてくれる。長編にもかかわらず何度見ても感動する。自分の思考や手段の「壁」を壊すエネルギーをもらえる。ヴィック・ムニーズ自身の試行錯誤の過程も興味深く、アーティストには是非見て欲しい。もちろんアーティストでない人にも。必ず勇気が湧いてきます。

[カテゴリ]自主上映募集

阿部 憲子

阿部 憲子

南三陸ホテル観洋 女将

「うたごころ」シリーズ

(監督:榛葉 健/2011~2013年/-/日本)

時間が経てば経つほど風化していく震災の記憶。だからこそ伝え続ける、大切な人の心。映画の中のありのままの南三陸の風景、風情、人の営みがダイレクトに入り込んでくる。見た人それぞれが様々感じることができるから心に残る。心に響く。 そして思い続けることが出来る。もう一度、思いを共有して、共に歩んで行くことを願います。

[カテゴリ]自主上映募集

河崎 清美

河崎 清美

FORTUNE宮城 編集長

波伝谷に生きる人びと

(監督:我妻和樹/2014年/134分/日本)

宮城県南三陸町の海沿いに位置する震災前の波伝谷部落を舞台に、人々の営みを映し出す。淡々と綴られた映像は、濃密で生き生きとした人間関 係を描くかたわら原初的共同社会の厳しい側面も浮かび上がらせる。そんな社会も時代とともに変化せざるを得ない現実。正否はない。今を生き、 未来をつくっていく誰しもをふと立ち止まらせ、これからどう生きていくべきなのか、問いかけてくる作品である。

[カテゴリ]会場上映あり、自主上映募集

林 春野

林 春野

NPO法人ETIC. チャレンジ・コミュニティ事業部 事務局・コーディネーター

春を背負って

(監督:木村大作/2014年/116分/日本)

生きていれば、人と関われば生まれる喜怒哀楽を伴う出来事をどう捉えるか、自分の人生に活かすか。作中にもある「一歩一歩自分の足でしっかり、普通に歩いて行けばいいんだよ」の言葉の通り、自分のペースで一歩一歩大地を踏みしめ山を登るように日々を過ごし、時に足を止め山間から吹き込む空気に包まれ深呼吸するように「人生を感じる」ということを教えてくれる映画です。

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安田 菜津紀

安田 菜津紀

写真家

光の音色 THE BACK HORN Film

(監督:熊切和嘉/2014年/85分/日本)

オルタナティブロックバンドTHE BACK HORNと熊切和嘉監督が織りなす、言葉と感情を音楽で表現した映画。最も絶望的な瞬間の後に見える、一筋の光のような希望。一つの言葉には置き換えられない人の死、残された人間の感情を音楽に乗せる。3.11、あのときの悼む感情を想い起こしながら見て欲しい映画だ。

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千田 優太

千田 優太

ARCT 事務局長

friends after 3.11 «劇場版»

(監督:岩井俊二/2013年/135分/日本)

震災復興活動をする中で「震災当時の様子を教えてください」と施設の方に聞くことがある。その答えが宮城県と福島県では大きく違う。宮城県では揺れた時と津波の話がほとんどで福島県では今に至るまでの生活の話、つまり現在進行形であった。
すぐ隣の県でもこんなにも違うのかと驚愕した。新聞やニュースなどで知識として知ってはいたものの生の声、直で見る風景に初めて実感する。

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坂本 博紀

坂本 博紀

ドキュメンタリー作家

虹の架け橋—台所と農業をつなぐ地域自立への長い挑戦

(監督:佐藤真/1997年/45分/日本)

佐藤真監督が山形県長井市のレインボープランという生ゴミを再利用する循環型農業を撮ったドキュメンタリーで、きっかけはトウキョウという虚像が幹線道路や郊外型大型店を通じて地方にやってきているという事実と、その虚像をカメラに収めたいという気持ちからであろうことが、著作「日常という名の鏡」から読み取れる。18年前の作品だが地方や農業を取り巻く構造は変わらない、震災を経て問題がはっきりと現れた事例も多い。震災後、長井市で再出発した浪江町の鈴木酒造店と引き継いだレインボープランの銘柄「甦る」。長井の市民団体は避難者と長井市民との交流事業を行ってきた。そこで作られた米を鈴木酒造店が醸し日本酒「甦る」を復活させた。ドキュメンタリーは時間という永続性のあるものの断片で終幕はない。これは佐藤真監督が撮った「虹の架け橋」の続きであり、僕たちが生きる今の物語である。

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岡田 未代

岡田 未代

コマンドN プログラム コーディネーター

アンダーグラウンド

(監督:エミール・クストリッツァ/1995年/170分/フランス・ドイツ・ハンガリー・ユーゴスラビア・ブルガリア)

「祖国」や「赦し」とは何かを問う骨太の作品。狂熱に鳴り響くバルカン音楽の中、内戦により祖国を失う人々をシュールに描く。騙し合い、愛し合う人々の「生」への欲求と祖国への愛が、切りつけるように悲しい。死別した肉親や友人が一堂に会すラストが特に美しく、その「複雑な明るさ」が3.11以降の私たちの未来なのかもしれない。

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海子 揮一

海子 揮一

一般社団法人 対話工房

波伝谷に生きる人びと

(監督:我妻和樹/2014年/134分/日本)

荒削りな部分があるものの、震災前の東北の漁村の暮らしが記録された貴重な資料となっている。
自然とともに生きること、地域の中で生きることなど、映像から発せられる現代社会への問い掛けは、震災を経てより際立った。記録=歴史は常に意味が変わりゆくとものだが、色あせない原石の輝きを持っている。何よりも東北沿岸各地で上映会を行ない、各地の厳しい現実と向き合い、また温かな支援で支えられた青年監督の姿が投影された青春映画でもある。

[カテゴリ]会場上映あり、自主上映募集

谷津 智里

谷津 智里

ライター・美術館スタッフ

波伝谷に生きる人びと

(監督:我妻和樹/2014年/134分/日本)

都市的な生活に慣れきった私たちにとって「三陸海岸に面した小さな集落」は物語の世界でしかなく、そこが「被災地」になる以前の暮らしについて想像することは、もはや現実的ではない。3.11の前日まで確かに存在していた「日常」がリアリティをもって目の前に広がる時、私たちは初めて、失われたものは何かについて考え始めることができる。そう気づかせてくれる映画。

[カテゴリ]会場上映あり、自主上映募集

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