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東北記録映画三部作 第二部『なみのこえ 新地町』

監督:酒井耕・濱口竜介 / 制作年:2013年 / 103分

上映スケジュール

3月14日(金) 16:00~  
3月28日(金) 19:00~  

あのとき本当はどう思ったの?

『なみのおと』の続編。前作を踏襲する形で津波被災者の対話からなる。前作は震災から約半年後、岩手から福島に渡る広域で記録したのに対し、本作は震災から約一年後に福島県新地町と、宮城県気仙沼市に絞って記録された。撮影に際して考慮されたのは、聞く相手を被災の過酷さや体験談の鮮烈さで選ばないということだった。「私たちよりもっと悲惨な体験をした人がいるから、そちらに聞いて欲しい」と度々聞いた。地震でライフラインが泊まった人、家の半壊した人、家を流された人、親しい人を流された人、家族を波に呑まれた人…。どこかにある「被災の中心」から離れるほど「語れない」。彼らは被災したにもかかわらず、被災した度合いによって「負い目」を感じているようだった。しかし「被災の中心」を求めて行く先は、もはや声なき死者である。決して聞けない「死者の声」が生き残った人々の声を封じていた。
本作に登場する21人は単に震災のことだけを語るわけではない。彼らは被災体験を語り合ううちにインタビューを「おしゃべり」へと変えていく。そこにあるのは「被災者」の声ではなく、彼ら「一人ひとり」の声だ。この声を100年先までも残したい。100年後の未来、我々は皆、同じく死者であり、この映画は「死者の声」になっているだろう。この映画に納められた彼らの声と、今は聞くことのできない波に消えた声が、100年先の未来でつながっていくことを祈り、この映画は撮られた。

公式サイト:http://silentvoice.jp/naminokoe/

監督プロフィール

酒井耕(さかい・こう)

1979年長野県生まれ。映画監督。現在の活動拠点は東京。東京農業大学在学中に自主制作映画を手掛け、自筆脚本による短編から中編の作品を監督する。卒業後、社会人として働いた後、2005 年に東京藝術大学大学院映像研究科監督領域に入学。黒沢清、北野武に師事し、田辺聖子原作短編落語集より『ホームスイートホーム』(2006年)、修了制作作品『creep』(2007年)等を監督。課程を修了し、現在はフリーの監督として活動中。2011年~2013年にかけて、濱口と 共同で東北記録映画三部作『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』を 監督。その後も「せんだいメディアテーク」「みやぎ民話の会」と共同作業を継続し、宮城県に伝わる民話の記録活動を行う。

濱口竜介(はまぐち・りゅうすけ)

1978年神奈川県生まれ。東京大学在学中から自主映画の制作を始め、同大学文学部を卒業後、映画の助監督やテレビ番組のADとして働く。2006年に東京藝術大学大学院映像研究科監督領域に入学し、修了制作『PASSION』(2008年)は国内外の映画祭で高い評価を得た。その後も日韓共同製作『THE DEPTHS』(2010年)、4時間に渡る長編『親密さ』(2012年)、染谷将太主演『不気味なものの肌に触れる』(2013年)等を監督。2011年~2013年にかけては東北記録映画三部作『なみのおと』『なみのこえ』『うたうひと』を酒井と共同で監督した。現在は活動拠点を神戸に移し「即興演技ワークショップ」を運営している。2014年春にはワークショップ参加者出演による新作長編映画を撮影予定。
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